【鈍感な世界に生きる敏感な人たち】繊細さを肯定し、能力として生きていこう【書評】

おすすめ本

HSP(Highly Sensitive Person)という特性をご存知でしょうか?
日本語では「敏感な人」、「繊細な人」という言葉が該当するかと思いますが、周囲の人々や物事に対し敏感に反応してしまうパーソナリティを持った人のことを指します。
世の中のおよそ5人に1人がHSPであるとも言われています。

本書はそんなHSPの人たちに向け、「敏感さは素晴らしい能力の1つである!」というポジティブなメッセージを送っている本です。
HSPという特徴を受け止め、肯定した上でどのように生きていくとよいか、そのヒントを学ぶことができます。

どんな本?

・2016年 株式会社ディスカヴァートゥウェンティワンより出版(単行本) 全230ページ
・デンマークで牧師、心理療法士として活動する著者がHSPについて記述している本
HSPの特徴」、「HSPの人が抱えやすい問題」、「その問題に対してどのように向き合うか」の主に3つのテーマで解説
・著者自身もHSPであると自覚しており、共感できる記述が多い
・HSPのチェックリストや、HSPの人が気分転換するためのアイデアリストなども付属

【メッセージを端的に言うならば】
・「HSPはパーソナリティなので変えることは難しい。なので強みに目を向けてみるのも良いのでは
・「敏感になってしまうシチュエーションに対しては、自分の考え方を変える、または刺激をコントロールする方法を見つけて対処しよう

この本で学べること

・HSPの特徴や強み、「鈍感な人たち」と付き合っていくための対応法など

私自身もHSPの自覚があり、「この損な性格どうにかしたいなあ」と思って本書を手に取りました。
本の構成として「まずはHSPを受け止め、強みもあると肯定的に捉えよう」、「とは言っても敏感過ぎると世の中で生きていくの大変だよね、そんな時はこう考えてみたら?」という流れになっています。

本書を読んで
・「HSPそのものを変えることはできなそう、でもこの特徴も悪いことばかりじゃないかも
・「この場面ではこう考えればいいのか。実際よくあるし、今度試してみるか
と前向きに自分自身を捉えるきっかけになりました。

どんな人におすすめか

・自分はHSPである自覚があり(またはかもしれないと思っており)、この特徴を肯定的に受け止められていない人
・周囲にHSPの特徴を持った人がいて、どのように接すべきか判断に迷っている人

こんな特徴に自覚のある方にもおすすめです
周囲の人の何気ない言動が気になってしまい集中できない
SNSなどでたくさんの情報に触れると疲れてしまう
大人数の会合などはすごく気を遣うので、いつも終わった後は疲れる
プレッシャーのかかるような場面、仕事は苦手

印象に残った箇所 3選

自分で抱え込みすぎない

あなたはすべての世界に対し、責任をとることはできません。あなたが責任をとるということは、同時にほかの人の責任を肩代わりしてしまうことでもあります。

ディスカヴァートゥウェンティワン「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著/枇谷玲子 訳(p58)より引用

HSPの人の特徴の1つに、「自分自身で抱え込み過ぎてしまうこと」があるかと思います。

例えば、何か起きたことに対し「私のせいだ」、「私がもっと〇〇だったら、こうはならなかったかも」、「こんなことになってしまって、〇〇さんに申し訳ない」と自分の責任を大きくしてしまうケースが特に多い気がします。(私自身もこのように考えてしまうことがあります。)

私は本文中の「ほかの人の責任を肩代わりすること」という表現が個人的にしっくりきています。
本来は自分の範疇を超えていることに対し過剰に責任を感じる必要はないですし、一見それは「良い人」に思えますが全く違いますよね。
むしろ責任の所在を肩代わりすることは本来良くないことであり、問題の根本的な解決にも繋がらないのではないでしょうか。

もちろん「自分ごととして物事を考えて、あらゆる責任は自分にある」という考え方も大切だと思いますが、HSPの人はそれが少し過剰になってしまうことがある事を念頭に、時には自身でブレーキをかけることが必要かもしれませんね。

本当の自分を認めてくれる人を見つける

本当の自分を見せることでまわりの人が逃げていくのが怖かろうと、見せかけの自分とは決別してください。(中略)逃げていかなかった人との関係が深まるかもしれません。

ディスカヴァートゥウェンティワン「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著/枇谷玲子 訳(p87)より引用

ありのままの自分を見せることは勇気がいることですが、この本ではメッセージの1つとして書かれています。

場の雰囲気に合わせて無理に自分を演じていたりすると、「本当の自分はこんなじゃないけど、もうキャラとして定着してしまったし、今更後戻りできないよ‥」というような経験がある方はいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身も、本当は違うけどだけど周りに合わせて「賑やかキャラ」を演じたり、思ってもないことを言ってしまうことが多々ありました。(少なくはなりましたが、今も時々そんな自分を演じてしまうことはあります)

ですがそれは本当の自分ではないので、いつかどこかでボロが出てしまうと思います。
実際、よく人を見ている鋭い方は「この人本当はこんな性格じゃないよね‥無理してるんじゃない?」と気づいているケースが多い気がします。私も職場の上司や先輩から何度か指摘をされました。(きっと無意識で仕草やオーラに出ているのでしょうね)

そうなってしまうと周りから信頼されるまでに余計時間がかかってしまいますし、「この人は実際どんな人なんだろう。よくわからない人だな」と思われてもおかしくありません。
そのリスクを考えると、最初からありのままの自分でいること、苦手なことは苦手だとはっきり伝えてしまう方が結果的に良いのではないかと思えます。

全ての人と気が合ってうまくやっていくことは不可能だと常に考えていれば、「本当の自分と気が合う人を見つけてやる!」くらいの心意気で自己開示もできるのではないでしょうか。
人付き合いや、賑やかに明るく振る舞うことが苦手な人って意外と周りに多いです。
(私自身がそうですが、意外と?営業職の人にだってそういう人はいますよ!)

自分で自分を苦しめない

自分自身が設けた基準を満たせなくて自分を攻撃するのは悪い習慣です。

ディスカヴァートゥウェンティワン「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン著/枇谷玲子 訳(p133)より引用

時に良くない方向で完璧主義が働いてしまう私にすごく響いた言葉です。

自分自身で高い基準を設けて、それが満たせないと沈んでいる。
例えば
・「渾身のデートプランだったけど、最後のお店で相手のリアクションがあんま良くなかったな。もうだめだ、たぶんこれで嫌われたわ‥」
・「ちゃんと事前に渋滞情報調べたのに結局予想外に混んでる‥時間は間に合うけど、気分最悪」
・「今日のプレゼン、一番反応してほしい人のリアクションが微妙だった。自分的に上手く話せたけど、これじゃ意味ないよ‥」


などなど、特段最悪の事態になっているわけではないのに、自分自身が設定した期待値を満たせないとそこにばかりフォーカスして勝手に沈んでしまうケースです。
私自身もこうなってしまうことが多く、考え方を変えたいなと思っていました。

完璧主義が時に良くない方向に向かってしまう自覚がある方は、意識的に少し基準を緩めて自分を褒めてあげることをするといいかもしれませんね!
「いやいやそんな基準を緩めるなんて!」と思う気持ちもすごく分かりますが、それくらい完璧主義の人が求めるハードルは高いので、少し下げるくらいがちょうどよかったりするのではないでしょうか。
一度それくらいの気持ちで生活してみると、自分自身に疲れてしまうケースが少し減ると思います。

できなかったことではなくできたことに目を向けたり、多少失敗したことがあっても結果的に問題がなければOKと思うようにするなど、厳しすぎる自分から少し視点をずらすことを意識するといいかもしれませんね!

Before After

BeforeAfter
今日あの人不機嫌だな、私なんかしたかな‥何か嫌なことがあったり、仕事が立て込んでいるのかな。少なくとも私のせいでああなっている可能性は低いし、気にし過ぎないようにしよう。
周りが自分に求めているキャラってどんなだろう。嫌われないように頑張らないと結局いつか無理したキャラはバレるし、そうなるともっと大変だよな。
最初からありのままの自分でいた方が結果的に楽だよね。
もっと完璧にできていれば良い結果になったかも‥結局最後のつめが甘いんだよな今回は自分が求めた結果にならなかったけど、ちょっと基準が高過ぎたかも。
見直すとよくできた部分もたくさんあるし、前よりは成長しているからOK

まとめ

今回はHSPに関する書籍を取り上げ、印象に残った部分を紹介してきました。

繊細な自分を認めて、うまく付き合っていくための一助になれば幸いです。
HSPは5人に1人というデータも勇気を与えてくれると個人的には考えています。
(意外と周りに繊細さんっているんですね!)

自分だけが辛いんだと抱え込み過ぎず、自分の特性を前向きに捉えて日々を過ごしていきましょう!

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