選手として3度の三冠王、監督として8年で4度のリーグ優勝、日本一の達成。
そんな突出した実績を誇る落合博満さんですが、
時に常人には理解できない思考は「オレ流」と呼ばれました。
そんな落合さんは著書も多数あり、自身の思考の一部を明かしています。
そんな中から数冊を紹介します。
野球をやっているいないに関係なく、特に社会人の方に響く内容も多いですよ。

コーチング 言葉と信念の魔術(落合博満 著:2001年 ダイヤモンド社)
部下をダメにする言葉の悪送球とは何か?また組織の中で「自分を生かす」術とは?
まだ中日ドラゴンズの監督になる前、他球団で臨時コーチなどを務めていた時期の著書です。
自身の経験に基づきながら、「コーチング」とは一体何か、指導者としてどのようにあるべきかを記述しています。
内容も決して「落合さんだからできるんだよ」といった再現性の低いものではなく、ある意味当たり前というものが多い印象を受けました。
当たり前のことをブレずに継続していくことの難しさと、成功のためにはその難しさを超えていく必要があることを痛感します。
また指導者層だけでなく、選手(部下)目線の記述もあり、組織の中で生き抜くためのヒントなども多数です。
なので部下を持つ方、あるいは誰かの部下である方、どちらの人にもおすすめできると思います。
監督就任前からの、落合さんの「ブレない」姿勢をこの本から感じることができます。
部下に仕事を教えるときは、その仕事の持っている意味をきちんと説明して納得させたい。
コーチング 言葉と信念の魔術 p80(落合博満 著:ダイヤモンド社)
人間とは面白いもので、自分がいなくなったら、組織や仕事はうまく機能していかないのではないかと思っている。(〜中略〜)しかし、実のところ何も変わらないのだ。
コーチング 言葉と信念の魔術 p95(落合博満 著:ダイヤモンド社)
采配(落合博満 著:2011年 ダイヤモンド社)
仕事に、人生に参考になる66のメッセージ
中日ドラゴンズの監督を退いた2011年の著書。
前作同様に指導者としての在り方にも言及しつつ、ビジネスパーソンに向けたメッセージが中心となっているのが特徴です。
「契約はすべてにおいて優先される」、「職場に居心地の良さを求めない」、「模倣は一流への第一歩」など落合さんらしい表現で強く生き抜くためのメッセージが伝えられています。
中日の監督時代に黄金期を築いた実績があり、説得力も十分ですよね。
時に耳が痛くなるような厳しい言葉も出てきますが、突出した成績を残すためにはそれくらいの覚悟、継続力が必要であり、それくらいのことをしないと抜きん出ることはできないことを痛感します。
仕事において活かせる考え方が多く、とても参考になるのでおすすめです!
前回からの成長ぶり、その仕事にベストを尽くせたかどうかの評価は別の次元の話であり、契約を取れなければ仕事をしたとは言えない。
采配 p67(落合博満 著:ダイヤモンド社)
つまり、道の先にある「勝利」の定義とは、人それぞれなのだ。
采配 p97(落合博満 著:ダイヤモンド社)
決断=実行(落合博満 著:2018年 ダイヤモンド社)
中日監督時代のエピソード、大谷翔平選手についてなど野球理論も多く収録された「采配」アップデート!
中日ドラゴンズでの監督、GM業務を務めた後、2018年の著書です。
直近での監督としてのエピソード、GM目線からのプロで活躍できる選手の特徴など、より野球に特化した印象を受けました。
特に自身が現役だった頃と現在(2018年時点)の野球の在り方を比較し、分析しているのが面白かったです。
(例えばデータの使い方、若い選手との向き合い方など)
巨人、阪神と三つ巴で優勝争いを繰り広げた頃のベンチでの舞台裏、また当時二刀流の道を突き進み、エンゼルスへの移籍が決まった大谷翔平選手への言及など内容盛り沢山です。
これまでに紹介した2冊と比べると野球の技術的な話が多いですが、仕事に通ずる部分もあります。
前2作を読んで、もっと読んでみたい!となった方に特におすすめできると思います。
とかく若者は、上司や先輩を「時代遅れだ」と感じることがあるだろう。
決断=実行 p141(落合博満 著:ダイヤモンド社)
それでも、その時代に戻って考えるべきことがあることも知っておいてもらいたい。
(※番外編)嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか(鈴木忠平 著:2021年 文藝春秋)
中日での8年間を取材したライターが描く圧巻のノンフィクション!めちゃくちゃ面白い!
落合博満さんの著書ではないので番外編としましたが、めちゃくちゃ面白いのでおすすめです!
著者は日刊スポーツ新聞社で記者を務めた経歴があり、その時代に落合ドラゴンズを取材していました。その時の記録をノンフィクションとしてまとめたのが本書です。
とにかく読み手を引き込む文章で、ページを捲る手が止まらなくなります。
500ページ弱と本で持つとかなりの分厚さですが、本当に読みやすいので敬遠せずに読んでほしいです。
全12章構成で、各章で1人の選手やコーチ、スタッフを取り上げ落合さんとのエピソードが描かれます。
当時の落合監督、中日ドラゴンズに密着した記者であった著者だからこそ描けたクオリティ、緊迫感を感じることができます。
なぜ語らないのか、なぜ俯いて歩くのか、なぜいつも独りなのか。
嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか p14(鈴木忠平 著:文藝春秋)
そして、なぜ嫌われるのか。
最後に
落合博満さんの著書の一部、落合さんが主人公として描かれたノンフィクション作品を紹介してきました。
興味を持っていただけた方は、ぜひ本を手にとってみてください!
ちなみに落合さんは現在ご自身のYouTubeチャンネルも持っていて、動画も観ることができます。
また違った姿を見れるので、こちらもぜひチェックしてみてください。
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