【おすすめ本】地政学をテーマにした書籍を紹介!日々のニュースを理解するための必須知識

おすすめ本

ニュースで聞くことも多い「地政学」というワード
私自身は何となくしか理解できておらず、色々知識をつけておきたいということで本を読んでみました。
歴史の知識がなくても、読み進めることができるものを紹介しています。

「日々のニュースの意味がわからない‥」
「地政学って最近聞くけど、たくさん本屋にあるしどれから読めばいいんだろう」
そんな方の参考になれば嬉しいです。

佐藤優の地政学入門 佐藤優 監修(2022年 Gakken)

入門にピッタリ!イラスト多数でわかりすく幅広い国、地域を網羅

☆読みやすさ:◎(イラスト多めで読みやすい。内容は基礎的)
☆分量:○(単行本で159ページ)
☆おすすめポイント:初めて地政学関連の本を読む人向け

数多くの著書もある元外交官の佐藤優氏が地政学を基礎から解説しています。

・そもそも「地政学」って何を研究する学問なの?
・具体的に、どの時代から出てきた概念なの?
・なぜ今、地政学が注目されているの?
といった基本的な疑問からスタートし、わかりやすく説明があります。

もちろん基本的知識だけに留まらず、具体的な内容も解説があります。
全体を通じイラストが多く配置されているので、記憶に残りやすいのがこの本の一番のポイントだと思います。
(地理が絡んでくるので、イラストが多いと初心者にはありがたかったです)

この本で基礎を身につけつつ、次の本も探してみるとより深い知識が身に付くと思います。

あの国はなぜ、あんな行動に出たのだろう?どうして、あの国と敵対しているのだろう?あの国が宣戦を布告した理由は?(中略)
このような疑問を、地図から読み解いていくのです。

佐藤優の地政学入門 p10 佐藤優 監修(Gakken)

13歳からの地政学 田中孝幸 著(2022年 東洋経済新報社)

物語形式でスラスラ読める!「世界の中心ってどこなんだ?」という問いを考える

☆読みやすさ:◎(物語形式で読みやすい。地政学の考え方そのものを解説している)
☆分量:○(単行本で246ページ)
☆おすすめポイント:初めて地政学関連の本を読む人向け

読みやすい&面白いのでおすすめです。

高校生と中学生の兄妹が、あるアンティークショップの”地球儀”に興味を持ちお店に入ったところ、そこの店主と出会います。
そして店主はその地球儀を使いながら、兄弟に世界の仕組み(=地政学)や「世界の中心はどこか?」を教えていくという流れです。(超ざっくり)
物語調で本が進んでいくので読みやすいですが内容も分厚く、読後の満足感はきっとあると思います。

「モノの見方が加わる」ということがこの本から得られると思います。
表現が難しいのですが、「こういう視点からの考え方もあるんだ」って思う表現が多かったです。

例えば
・「海は面積だけでなく、体積(深海はどうか)も考える」という流れから
→「核ミサイルを収納する場所は深海であり‥」と展開していたり
・「経済成長の鍵の1つは人口増加である」という流れから「移民は‥」と展開したり

この本を読めば、「世界の中心がどこか」自分なりの答えがわかるはず!

物事には様々な角度の見方ができることを自覚し、地球儀を遠くから静かに眺めるように世界を見たい。

13歳からの地政学 p241 田中孝幸 著(東洋経済新報社)

世界の「今」を読み解く!新・地政学入門 髙橋洋一 著(2022年 あさ出版)

「戦争」に特化して主要国、地域の地政学について解説!

☆読みやすさ:◎(主要地域、主要国に絞って解説されているので整理しやすい)
☆分量:○(単行本で294ページ)
☆おすすめポイント:初めて地政学関連の本を読む人向け

地政学の中でも特に「戦争論」を軸に解説されています。
テーマは大きく「中国」、「ロシア」、「ヨーロッパ」、「アメリカ」で、最後に日本の今後の動きも言及があります。
世界の中でも現状中心とされる国、地域にフォーカスしているので、まさに入門にピッタリだと思います。

文章もとても読みやすく、各パートごとにポイントが明瞭なので記憶にも残りやすいです。
例えば「中国はとにかく広い海が欲しい!」、「ロシアは南に向かいたい!」などなど‥
なぜ広い海が欲しいのか、南下したいのかの背景を知れば、そういった国々が今行なっている行動のロジックを知る一助になるのではないでしょうか。

著者は国際政治の最前線を知る方であり、日本が置かれている現実に対しても時に厳しいコメントを残しています。
特に集団的自衛権の話題など、どうしてもセンシティブになってしまうものもありますが、最低限の知識をみにつけ、自分なりに考えることが重要であると感じました。

地理的な条件とは、すなわち領土やその周辺地域のことであり、領土といえば国同士が争い奪い合ってきたもの、つまり戦争がつきものだ。
だから、地政学とは戦争の歴史を学ぶこと、といえるのである。

世界の「今」を読み解く!新・地政学入門 p18 髙橋洋一 著(あさ出版)

武器としてのエネルギー地政学 岩瀬昇 著(2023年 ビジネス社)

ウクライナ侵攻を受け、エネルギー戦争はどのように変わるのか?また日本が取るべき道は?

☆読みやすさ:○(石油、ガス、脱炭素など知っておくべき知識がわかる&初学者でも問題なし)
☆分量:○(単行本で285ページ)
☆おすすめポイント:エネルギーを巡る最新の動きに興味がある方

2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて出版された本。
エネルギー地政学はどのように変わるのか?また日本が進むべき道はどこなのか?に関する解説、提言がメインテーマ。
この問題がいかに私たちの生活に直結するかも含め、重要性を再認識できました。

エネルギーを巡る争いの中心国、地域に絞って解説されているのでシンプルでわかりやすいです。
・ロシア産のエネルギーを輸入せずして、欧州はどのように動こうとしているのか?
・シェール革命に沸くアメリカは原油産出国としての地位を確固たるものにできるのか?
・脱石油を目指すサウジアラビアのしたたかな外交政策とは?

などなど今後知っておくべき主要登場人物の動きが理解できます。

最後には日本に対する提言も。
ことエネルギー分野において、私たちが住む日本は「持たざる国」であることを自覚しなくてはいけないと筆者は述べています。
そのことをまずは自覚した上で、国際社会においてどのように振舞っていくべきなのか?
この業界に携わっていなくても、考えるべき問題であることが本書を通じよくわかりました。

(前略)われわれ日本人は「エネルギーを持たざる国」だとの自覚を持ち、今回のような「エネルギー戦争」に備え、政府の資源政策に積極的に関与していくべきなのだ。

武器としてのエネルギー地政学 p263 岩瀬昇 著(ビジネス社)

2030 半導体の地政学 太田泰彦 著(2021年 日本経済新聞出版)

半導体を巡る米中、台湾の動き、そして日本についてを解説

☆読みやすさ:○(半導体のビジネスモデルや国際社会社会の現状がわかる&初学者でも問題なし)
☆分量:○(単行本で285ページ)
☆おすすめポイント:半導体に関する国際ニュースを把握したい方

半導体ビジネスについて、世界と日本の現状を解説している本。
特に日本については現状を指摘した上で、ここからの約10年(出版当初)をどう舵取りすべきかの提言もあり。

そもそも半導体ってなんぞや?というところから、具体的なビジネスモデルについてもわかりやすい解説があるので業界人でなくても問題なく読める&ニュースが理解できるようになる一助になるはずです。
世界を股に掛ける半導体ビジネスの複雑さ、各国の思惑がよく理解できます。

具体的には米中の覇権争いが中心になっていますが、「普段はあまり耳にしないある国も半導体技術で有名なんです」というような紹介もあります!
半導体の製造過程においてトップクラスの実績を誇る台湾を巡り両国はどう動いているのか、またその台湾企業はそれらをどのように捉えているのかが面白く勉強できます。

半導体ってニュースでよく聞くけど何が重要なのかよくわからない‥という方はもちろん、本書では具体的な企業名も多く出てくるので、投資先の情報収集としても有用な気がしました。

個人的には米国が半導体の領域において世界をリードし続けている理由の考察が興味深かったです。

米政府がいち早くTSMCやサムスン電子の誘致に成功したのは、補助金だけでなく国内の広い市場によるところが大きい。〜(中略)消費者向けのAI端末を開発する企業を筆頭に、新しいビジネスのアイデアが沸き起こる土壌が米国にはある。

2030 半導体の地政学 p276 太田泰彦 著(日本経済新聞出版)

最後に

地政学が学べる書籍を紹介してきました。

日々のニュースを理解する上で必要な視点を与えてくれる分野だと思いますので、興味があればぜひ手に取って読んでいただければと思います!

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