卓越した決断力や実行力、そして”人間力”を携え政界で「コンピューター付きブルドーザー」の異名をもった田中角栄氏。
私は現代史で少し勉強した程度で、恥ずかしながら「金脈政治」のイメージしかありませんでした。
最近になって彼の考えや政治家としてのスタンスが再評価され、「今こそ彼のような人間が必要である!」という再評価路線も盛り上がっていると聞きます。
そんなことから私も興味を持ち、本書を手にとってみました。
きっと田中角栄氏の「人間らしさ」など新たな側面に気づくことができると思います!
※以下本文にて、敬称は謝して省略させていただきました。
どんな本?
・政治評論家である著者が、田中角栄とその周辺人物への四半世紀にも及ぶ取材を通じて得たエピソードや秘話を紹介
・田中角栄の人間性や価値観についての話が中心
・2023年出版(新書) 全248ページ
【メッセージを端的に言うならば】
・「今こそ田中角栄のような人間臭さ、人を惹きつける魅力が必要ではないか」
この本で学べること
田中角栄のエピソードを通じて「周囲から頼られるリーダー像とはどんなものか」、「人から頼りにされる人間はどんな行動をしているのか」を学ぶことができます。
決して再現性の低い「田中角栄だからできたんでしょ?」という事例ばかりではなく、どんな人でも心がけることで実践可能なエッセンスが多いので、参考になると思います。
どんな人におすすめか
・田中角栄の人柄に興味がある人
・人の上に立つ立場にある人
・人を惹きつける考え方や行動について学びたい人
印象に残った箇所 3選
中途半端な人付き合いはしない
「いいか、何事も相手に対して手を抜くな。誠心誠意、全力投球で向き合うことだ。それが最大の気配りということになる。真の信頼関係は、そうした中から生まれる。」
幻冬舎新書 田中角栄名言集 小林吉弥著 第一章 なぜ、人は動くのか(p26)より引用
人付き合いにおいては常に全力で。まさに言うは易く行うは難しではないでしょうか。
本の中ではこの言葉を裏付けるような、田中角栄の対人関係におけるエピソードが多数紹介されています。
人の冠婚葬祭には特に気を配っていたこと、裏方とされるポジションの方のことも決して忘れないこと、人と面会する時には人となりや家族構成、これまでの活動などを徹底的に調べてインプットした上で臨んでいたことなどなど‥
誰だって自分のことをよく知ってくれている人、あるいは知ろうとしてくれているのが伝わる人に悪い感情は抱かないのではないでしょうか。
また田中角栄は人の名前をフルネームで覚えることも意識していたようです。(一国の総理大臣なんて一体何人の関係者がいるやら想像もつきませんが、ここにも彼の”コンピューター”ぶりが発揮されていますね)
「総理大臣から自分の名前が認知されている」という事実が仕事のモチベーションになり得ることを知っていたが故の行動でもあると思いますが、「人として当たり前のこと」を行なっていた田中角栄からすればなんでもないことのような気もします。
私も会社員として仕事をしていますが、「〜(会社名)さん」と得意先の人から呼ばれるよりも、「〜(自分の名前)さん」と認知してもらうことの方が嬉しいです。(気持ちの問題ですが)
でもこんな些細なことが良い仕事につながる気もするので、自分も意識して人の名前を呼ぶようにしています。
率先して自ら動く
「自ら膝を折ってこそ、人は喜ぶものだ。」
幻冬舎新書 田中角栄名言集 小林吉弥著 第二章 人に好かれる極意(p78)より引用
特に人の上に立つ立場になった時に意識したいことだと思います。
いわゆる「現場の目線を忘れない人」のようなイメージでしょうか。
誰かに喜んでもらいたい、役に立ちたいと思えば自ら動いて気持ちを示すことが最も響くのではないでしょうか。
私は現時点で部下を持たない立場にありますが、困った時に現場に来てくれる上司にはとても助けられていますし、信頼もしています。(幸い今までの上司は皆さんこんな方々でした)
部下が何かミスをしてしまった時、「よし、私も一緒に謝りにいこう」と言えて、かつその現場でも謝罪だけではなく問題をしっかり解決して帰ってくる。そんな人間になりたいものですね。
人を立てたことが、いつか自分に返ってくる
「(前略)黙って、汗を流せ、いいところは、人に譲ってやれ。そうすれば人に好かれ、物事はうまく運ぶことが多い。」
幻冬舎新書 田中角栄名言集 小林吉弥著 第四章 部下を育てる(p193)より引用
「いいところは人に譲る」一見遠回りというか、言ってしまえば損な立ち回りのようにも見えることですが、田中角栄は大切にしていた考え方のようです。
この考え方も、人の心理をよく理解したものであると思います。
世の中の多くの仕事は1人で簡潔できるものではなく、色々な人が関わって成り立っています。
そうである以上、「自分1人で何かを達成した!」ということはほとんどないですよね。
そんな時、例えば仕事の中でたまたま自分がゴールを決めたようなことがあった時、それを「自分の手柄」とするか「関わってくれた周囲の人あっての成果であって、たまたまゴールを決めたのが自分」と考えるかでその後も大きく変わってくるのではないでしょうか。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、気を遣ってくれたり、自分を気にかけて立ててくれた人を悪く思う人は少ないと思います。
そして「いつかこの恩を自分も返してあげよう」と思うようになるのではないでしょうか。
最終的に、こういった自分の行動もどこかで誰かがみていて、いつか自分にも良い形で返ってくることもあるということがこの言葉から学べることだと個人的に考えています。
周囲に気を配り、細かい気遣いや感謝の気持ちを忘れず、その思いを形として伝えることの重要性を痛感しました。
Before After
Before | After |
「人付き合いなんてめんどくさい」 | 「信頼関係を築くためには避けて通れない。やるなら徹底的に、細かい気遣いも含めてしっかりやらないといけない」 |
「自分が動く必要ないなら、無理しなくていいかな」 | 「自分が動けば効果的だったり人から喜んでもらえるかもしれない。それなら頑張ってみようかな」 |
「自分の手柄は自分だけのもの!」 | 「周囲の人のサポートあっての結果。感謝の気持ちをちゃんと伝えよう」 |
まとめ
田中角栄のエピソードを通じ、対人関係において重要なことを学ぶことができました。
もしご興味ありましたら、ぜひお手にとってみてください!
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